特集 本格到来するDPC時代
【事例】
病院におけるDPCデータの活用―九州医療センター
阿南 誠
1
1独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 医療情報管理部 医療情報管理室
キーワード:
DPC
,
DRG
,
診療情報管理
,
診療情報管理士
,
分析ツール
Keyword:
DPC
,
DRG
,
診療情報管理
,
診療情報管理士
,
分析ツール
pp.719-721
発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101779
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■当院のDPCに対する考え方
平成6年7月の開院以来,診療情報管理に力を入れてきた当院は,元々,診療情報管理の一貫としてICDコーディングやデータベース構築を行っている.したがって,平成10年の11月の日本版DRG(以下,DRG)試行病院に選定時も,様式1作成というよりも,診療情報管理士が構築していた既存のデータベースから様式1に必要なデータをダウンロードする方法で対応した.当時の制度は「1入院包括支払」で調整係数という考え方もなかった.その理由は,それなりの経営状態にあって,急性期のモデル病院を対象としたために,調整や是正は必要なかったと推察される.
さて,DRG時代にも過去に様々なデータが公表され,多くの議論があった.1つひとつ触れることはしないが,当院でもまず最初に行ったことは,分類に設定された期間設定と実際の当院との差である.現在と同様に各病院から提出されたデータに基づき分類開発が行われており,当時の病院数はたったの10,データ数も少ないものの,「基礎調査」データとの比較は重要であった.特に,現在のように調整係数が存在しないので,設定された1入院期間の包括診療報酬額と,出来高診療報酬額の差額は病院収入に直接的に影響を与えた.当院においては,DRG試行開始直後は,平均との比較で顕著に差が発生していたが,平成10年頃に始まった国立病院におけるクリティカルパスの積極的な導入の議論と相まって,平均在院日数短縮が実現し,短期的に,出来高点数比較では,相対的に+方向にシフトすることとなった.平成22年現在,パスについては,240種類程度が作成されている.
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