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教育講座
ポリオにおける下肢装具療法
Lower Limb Orthoses for Polio and Post-polio Syndrome
和田 太
1
Futoshi Wada
1
1東京女子医科大学リハビリテーション科
キーワード:
ポリオ後遺症
,
ポリオ後症候群
,
下肢装具
Keyword:
ポリオ後遺症
,
ポリオ後症候群
,
下肢装具
pp.412-417
発行日 2021年4月18日
Published Date 2021/4/18
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はじめに
ポリオウイルスは,罹患しても大部分が無症状である.しかし,1〜2%で,脊髄や脳神経の前角細胞が障害され,四肢に弛緩性の麻痺を生じる.この麻痺は,神経の再支配などの回復過程を経て,一部が回復し,症状は安定する.麻痺が残存した場合,それぞれの麻痺の状態に応じて,歩行能力を獲得する場合が多い.20世紀前半にポリオが大流行後に,残存筋や補助機器,装具などを駆使して,日常生活や社会生活へ復帰を図る代償的アプローチが積極的に推進され,大きな成果を残した.下肢装具は,代表的な代償手段であった.この成功は,その後のリハビリテーション医療のあり方にも大きな影響を与えた.
現在,国内にてポリオ関連で装具を扱う機会は,既存の装具のつくり替え,筋力低下・関節変形などの2次的障害やポリオ後症候群(post-polio syndrome:PPS)への対応(装具の変更,新たな装具の導入)が中心である1).PPSは,ポリオ罹患から回復し,機能的に安定した期間を経た後,運動ニューロンが過負荷により死滅または機能不全に至り,新たな筋力低下や関節痛,筋肉痛などの症状を招く病態である2).PPSの発症により,確立された代償的な適応は破綻し,転倒や不動を招く.下肢装具は,歩行を安定化させて,転倒の防止や歩行や移動の効率化を図ることができるため,活動量の適正化に役立つ.本稿では,ポリオ後遺症,PPSに対する装具療法を行ううえでのポイントについて解説する.
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