Japanese
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論説
法定雇用率の引き上げと企業行動―障害者雇用納付金制度の経済理論分析
Raising the official quota for employment of persons with disabilities and action of the firm: economic theoretical analysis of the Levy system for employing persons with disabilities.
福井 信佳
1
,
茅原 聖治
2,3
Nobuyoshi Fukui
1
,
Seiji Kayahara
2,3
1大阪労災病院リハビリテーション科
2龍谷大学
3大阪河﨑リハビリテーション大学
1Department of Rehabilitation Medicine, Osaka Rosai Hospital
2Ryukoku University
3Osaka Kawasaki Rehabilitation University
キーワード:
障害者雇用
,
納付金制度
,
ミクロ経済理論
Keyword:
障害者雇用
,
納付金制度
,
ミクロ経済理論
pp.1481-1486
発行日 2007年12月10日
Published Date 2007/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101140
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はじめに
2006年4月に障害者自立支援法が施行され,その一部を成している障害者の就労問題は今日最も注目されている課題の一つである.一般雇用については,法定雇用率を基準とする障害者雇用納付金制度(以下,納付金制度)が障害者雇用推進の柱となっている.納付金制度は,法定雇用率に達していない企業が納付する障害者雇用納付金(以下,納付金)を原資として,障害者の雇用を促進する企業に障害者雇用調整金(以下,調整金),報奨金,助成金といった補助金が支出され,障害者の雇用を促す仕組みである1).
最近の障害者雇用に関する先行研究は,雇用状況の推移を示すもの2-4),雇用上の問題や対策5-7),事例研究8-10),職業リハビリテーションの動向11-13)など,納付金制度を前提とした報告は多数存在するが,納付金制度が企業行動にどのような影響を与えるかを理論分析した論文は筆者らが知る限り見当たらない.
本稿の目的は,法定雇用率・納付金制度をミクロ経済学の企業理論の枠組みにより理論分析し,納付金制度の中身である法定雇用率の引き上げや納付金,調整金,報奨金,助成金の引き上げが企業にもたらす効果を理論モデルを用いて明らかにすることである.
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