Japanese
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講座 障害者の権利条約・2
障害者の自律・自立とリハビリテーション―国際法の視点から
Autonomy, independence and rehabilitation of persons with disabilities:an international law perspective.
川島 聡
1
Satoshi Kawashima
1
1東京大学大学院経済学研究科
1Graduate School of Economics, The University of Tokyo
キーワード:
自律
,
自立
,
自己決定
Keyword:
自律
,
自立
,
自己決定
pp.1339-1346
発行日 2007年11月10日
Published Date 2007/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101111
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はじめに
国際障害者年(1981)のテーマである「完全参加と平等」を実現するために,1982年に国連総会で採択されたのが,障害者に関する世界行動計画(以下,行動計画)1)である.行動計画において,リハビリテーションは,障害予防,機会均等化とともに大きな柱とされた.
その後,1983年から1992年までの国連障害者の十年の成果として,1993年に障害者の機会均等化に関する基準規則(以下,基準規則)2)が採択された.その名のとおり,障害者の機会均等化を目指すこの国際文書において,リハビリテーションは機会均等化の前提条件の一つとして位置づけられた.
これらの国際文書は法的拘束力を有するものではなかったが,法的拘束力をもった国際文書として,2006年12月に障害者権利条約3)が採択された(未発効,日本は署名済・未批准).この条約は,その26条として,「ハビリテーションとリハビリテーション」と題する独立した条文を定めた.
以下においては,まず,時系列的に,1970年代末までの国際諸文書における代表的なリハビリテーションの定義を紹介した後,行動計画と基準規則におけるリハビリテーションの定義が障害者の「自己決定」の視点を含んでいることを指摘する.次に,障害者権利条約における「自立」と「自律」をめぐる解釈の可能性を検討し,それとの関連で本条約26条の意義を探ることにする.
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