Japanese
English
実践講座 嚥下障害 1
ベッドサイドにおける評価
Bedside assessment for dysphagia.
戸原 玄
1
,
才藤 栄一
2
,
馬場 尊
2
Haruka Tohara
1
,
Eiichi Saitoh
2
,
Mikoto Baba
2
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科老化制御学系専攻口腔老化制御学講座口腔老化制御学分野
2藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座
1Gerodontology, Department of Gerodontology, Division of Gerontology and Gerodontology, Graduate School, Tokyo Medical and Dental University
2Department of Rehabilitation Medicine, School of Medicine, Fujita Health University
キーワード:
摂食・嚥下障害
,
ベッドサイド評価
,
標準化テスト
,
非VF系評価
Keyword:
摂食・嚥下障害
,
ベッドサイド評価
,
標準化テスト
,
非VF系評価
pp.69-76
発行日 2004年1月10日
Published Date 2004/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100530
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はじめに
摂食・嚥下障害の評価法のうち,現在,嚥下造影(videofluorography;VF)が最も信頼性が高いと考えられている.VFは誤嚥の有無のみならず,嚥下関連機関の解剖学的・生理学的異常を観察できる優れた検査法であると言える.透視に必要な設備をもつ各施設においては,摂食・嚥下障害が疑われる患者に対してほぼルーチンに行われている方法である.
しかし,実際にはVFに必要な設備をもたない施設は多い.老人保健施設入所者のおよそ3割から半数が何らかの摂食・嚥下障害をもつと言われている1-3)なか,VFを用いずに摂食・嚥下障害患者への評価・対応を余儀なくされる場合が存在する.このような場合,必ずしも適切に摂食・嚥下障害の評価,対応がなされているとは言い難い.また,VFが可能な環境下でも,毎日の訓練を透視下で行うのは実際的ではない.
VFの主たる問題点には,被曝,および造影剤の誤嚥があげられる.VF時の実行線量は0.4mSV程度であり,他の一般的な放射線検査に比して大きいものではないこと4),VF時に造影剤を誤嚥しても適切な処置を行えば,検査後の発熱の危険性は低いこと5)などが報告されているが,検査の際には不要な被曝や誤嚥は避けるべきである.
以上のような背景から,VFが可能な施設,不可能な施設のいずれの場合においても,摂食・嚥下障害患者に携わる各スタッフにとって,ベッドサイドにおける摂食・嚥下機能評価法に関する知識は不可欠であると考える.
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