Japanese
English
特集 リハビリテーション医学における疫学
切断
Epidemiology of limb amputations.
豊永 敏宏
1,2
,
河津 隆三
1,2
Toshihiro Toyonaga
1,2
,
Takamitsu Kawazu
1,2
1九州労災病院リハビリテーション科
2九州労災病院勤労者リハビリテーションセンター
1Department of Rehabilitation Medicine, Kyushu Rosai Hospital
2Industiral Rehabilitation Center, Kyushu Rosai Hospital
キーワード:
切断
,
疫学
,
切断レベル
Keyword:
切断
,
疫学
,
切断レベル
pp.40-44
発行日 2004年1月10日
Published Date 2004/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100526
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はじめに
最近のわが国の四肢切断の動向は,特に下肢切断において大きく変化してきている1,2).それは下肢切断の原疾患の変遷がきわめて欧米化の様相を呈してきており,高齢者の糖尿病性壊疽(以下,DM foot)や閉塞性動脈硬化症(以下,ASO)などの疾病による血管原性切断(以下,血管性切断)が下肢切断の過半数を大きく上回るようになったことによるものである.一方,上肢切断は労災事故や交通事故の減少に伴って,発生が下降傾向となっているものの,外傷性切断が大半であることには変わりなく,また,重症例が少なくなったことから,両側性切断などはほとんどみられなくなった.これらの事実から,切断動向を検討する際,切断の部位(上・下肢)によって対象疾患が大きく異なるため,上肢・下肢を個別に検討する必要があると思われる.
今回,当科における四肢切断の疫学調査から,切断のリスクや傾向をより深く把握し,予防・治療に反映するため,新規に入院した上・下肢切断(義肢装着目的も含む)を後方視的に調査し,以下のような追究を行った.これらの結果と文献的検討から,わが国における切断疫学を概説し,特に切断の大半(6割以上)を占めつつあり,また,リハビリテーション的に問題の多い高齢血管性下肢切断の今後の推移を予測し,切断後のADL(activities of daily living),QOL(quality of life)に深く関与する切断レベルにつき考察する.
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