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はじめに
わが国における下肢の切断原因は,外傷性に代わって糖尿病性壊疽(以下,DM foot)や閉塞性動脈硬化症(以下,ASO)など,疾病による高齢者の血管原性(以下,血管性)切断の増加が顕著となってきている1).このような動向のなか,医療の質の向上や標準化あるいは経済的効率性を目指すクリニカルパス(以下,パス)の作成を考える時,かつて大多数を占めていた外傷性切断においては,到達目標(end point)が義足歩行の獲得や職場復帰にあるため,それほど困難な作業とはならない.しかしながら,このような疾病変化の状況下では,切断原因となった疾病の管理や合併症対策を術前から綿密にするなど,術前・術後を通じて解決しなければならない課題を多く抱えつつ,切断者リハビリテーションを遂行するケースが多数を占める.このため,切断者パスの作成にあたっては,他の疾患と違って,あらかじめ数種類のパスを用意しておくことも必要となる.例えば,高齢者の末期血管性切断は当面の目的を延命とするため,切断のみで終わってしまうケースも稀でなく,切断端の可及的早期の創治癒が到達目標となる.このように,術前後の全身と局所の評価に精通していても,切断者パスを分類し作成することがきわめて困難と思われる.そのため国内外において,これに関する報告は少ない2-4).
本稿では,最初にリハビリテーション医療におけるパスの意義について述べ,それを踏まえて,当科における新規切断者の後方視的調査結果を参考にし5),文献的検討とともに,パス作成の問題点や運用上の留意点を述べる.とくに,義足処方や退院までのタイムラグや義足歩行の可否に関係の深い予測因子(促進と阻害)について当科の結果と併せ文献的検討をする.
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