巻頭言
独立した講座のない大学リハビリテーション部門から
志波 直人
1
1久留米大学病院リハビリテーション部
pp.1019
発行日 2006年11月10日
Published Date 2006/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100404
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大学でのリハビリテーション(以下,リハ)運営について,あるリハ講座教授にご相談する機会があった.「リハ医も施設によっていろいろな形があって良いので,状況に合った運営をして良いのではないですか.」とアドバイスをいただいた.大学のリハのあるべき姿を自分なりに考えていたが,それがかえって決断と行動を鈍らせていた.このアドバイスで,肩の力が少し抜けた.手始めに,リハ部門職員の適正配置を実施し,大学病院では,運動器,脳血管,循環器で基準Ⅰを取得,関係各科に打診して,整形外科,循環器科,脳神経外科,救命センターでリハ担当医師を決め,セラピストを配置して,各パスに直ちに対応できる体制にした.
外来では診療報酬改定の概要に沿い,全ての患者に日数の上限が設けられたことなどを説明するが,このような説明にリハが必要と思って通院する方たちが心から納得することはまずない.医学的にリハが必要な方たちもおられ,それぞれのケースで適切に対応するよう努力している.運動器リハについては,保険医療の支出抑制という全体のなかの改定であり,これまでと基本的に同様の適応疾患に,日数上限など制限が設けられたもので,改定後減収となった整形外科施設も少なくない.代替セラピストについては,現在,理学療法士(PT)数は3万人弱と医師数の1/10だが,数年後には10万を超えることが試算され,あくまで一時的措置と考えられる.医療保険を含め医療界全体でエビデンス,科学的根拠が重視されるなか,4大疾患別,代替セラピスト,算定日数制限など,今回の改定の是非は,医療関係者のみならず,多くの国民が注目している.
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