今月の言葉
独立と責任
M
pp.9
発行日 1955年8月1日
Published Date 1955/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200896
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この度日本看護協会から助産婦部会が独立して社団法人日本助産婦会を結成した.もともと助産婦会は,日本産婆会の時代から独立していたものが,戦後統合させられたのであるから今度分離したのも,もとの姿に復帰したわけである.戦後の統合も,また今回の分離も単に看護協会内部のことではなく,これは日本のたどつた運命に関連があり,統合も分離も時の流れであつてこの時代時代では,それだけの意味もあり,理由もあつたにちがいない.戦後の統合生活がどうしても,しつくりゆかず,助産婦活動に支障があるというのであるから,むしろ独立して,自由にその本来の使命達成にまい進したほうがよい.この独立にあたつては,いろいろのことが要望されている.その第一は,助産婦の全会員が,今回の独立の意義を,充分に理解することである.個人感情や,利己心からではなく,独立したほうが助産婦の使命をはたし,活動に有利なる理由を,よく理解せねばならない.他人の下につくのはいやだ.何でも一本立ちになろう,というようなことではなく,大きい理想をかかげ堂々と闊歩すべきである.第二に大切なことは会員の一致団結である分離以前には部会内で全会員が分離の可否について活溌,率直に意見をたたかわすべきある.しかし,一旦分離と決定した以上は,たとい自分は反対でも,全体の統制に服すべきで,これは民主主義の根本である.
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