特集 救急医療その院内体制・2
救急部門独立の現状と課題
小林 国男
1,2
1帝京大学
2救急医療センター
pp.845-848
発行日 1980年10月1日
Published Date 1980/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207262
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
昭和40年代のモータリゼーションの普及に伴った交通外傷患者の激増が,救急医療体制の重要性を国民に強く印象づけた.昭和51年には「救急医療緊急整備3か年計画」が樹立され,翌52年度より実施に移されたが,整備3か年計画は更に2年間延長され,昭和56年度に計画を達成するべく努力しているようである.確かにこの整備計画の実施により,救急医療体制が全国的に大幅に改善されたことは事実であり,かつて毎日のように新聞をにぎわした患者のたらい回しの記事は最近ではほとんどみられなくなった.しかし,実際の現場の問題がすべて解決されているかといえば,決してそうではなく,本当に国民が安心できる救急医療体制ができるのにはほど遠い感じがある.その一つが救急患者の受け入れ側である病院の救急患者に対する対応の遅れである.ここ数年間に,全国各地の大学病院や総合病院で救急部あるいは救急センターの設置が相次ぎ,それぞれの病院に合った運営方針を取っているが,いずれの病院もその運営には苦労しているのが実状であろう.
ここで帝京大学病院での場合を振り返り,救急部門運営の問題点についての私見を述べてみたい.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.