新 病院建築・71
部門別設計(3)—リハビリテーション部門
筧 和夫
1
Kazuo KAKEI
1
1東北大学工学部建築学科
pp.985-990
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208174
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リハビリテーション部のあり方
病院のリハビリテーション部を計画・設計する際に,院内の視点からのみこれを論ずべきでないことは言うまでもなかろう.このことは院内の他の各部門についても,事の軽重の相違こそあれ,同様に考えられるべき問題である.しかし,今日一般にこのことが必ずしも十分に考慮されているとは言い難い.そうした中で,とりわけリハビリテーションはそれ自身包括的な内容を必要とし,医学的リハビリテーションに限定してみても,その活動の場が院外にまで及ぶことが求められるものであることなどを考えると,病院リハビリテーション部の計画が地域社会の医療ニード,医療システムとの対応の下に進められるべきことは極めて重要なことであろう.例えて言えば,医療機関の問の役割関係をとりあげても,リハビリテーション専門病院,大総合病院,地域中小病院,そして開業医等というように,地域の期待への応え方もそれぞれに異なってくるであろうし,また対象とする疾患の相違によっても,脊髄障害,事故,脳血管障害,更には精神障害とそれぞれの重点とする療法や運営の仕方が変わってくるなどであり,それらによってリハビリテーション部のあるべき姿の変化も考えておく必要があろう.そして今日,急速な高齢化社会への移行の中で,老人医療が大きな課題となっている時,地域の立場から見たリハビリテーション部の再検討は特に求められているものと言えよう.
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