特集 一般病院におけるリハビリテーション部門
リハビリテーション部門の採算
伊藤 邦彦
1
1三愛会伊藤病院
pp.39-41
発行日 1970年7月1日
Published Date 1970/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204011
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はじめに
現在,日本のリハビリテーション(以下リハと略記)に対する認識は,欧米に比べて技術の面においても,また体系化の面においても,残念ながらかなり遅れているといわざるをえない.しかしリハの医療行為は,不可欠のものとされていながら,現実では,OTのように健康保険の未点数化の分野や,PT,STその他の点で全く正しく評価されていない部分がそうとうあり,かつ体系づけられていないという大きな欠陥をもっている.したがって,純粋なリハ病院の運営は,その採算のうえからも,かなりキビしいものになっている.
近年の疾病構造の変化に伴って,リハ医療の需要がますます増大し,かつ医療そのものの考え方に本質的な変化がきており,チームアプローチによって患者を治療するというcomprehensive medical careへと大きく前進しているのが現状である.本来,医療の本質は,かくあるべきものでありながら,それをやっていない.この点については,医師側にも責任はあるにしても,当局の責任は最も大きい.今こそ当局は,リハ医療保険を改善して,診療報酬体系の適正化をはからなければ,欧米からさらに引き離され,日本のリハ医療は大きく前進できないことは,あまりにも明らかすぎる.
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