Japanese
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特集 歩行分析の臨床
片麻痺患者の病態と歩行分析
Pathophysiology and gait analysis of hemiparetic gait.
長谷 公隆
1
Kimitaka Hase
1
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
キーワード:
片麻痺
,
歩行分析
,
機能的適応
Keyword:
片麻痺
,
歩行分析
,
機能的適応
pp.125-131
発行日 2006年2月10日
Published Date 2006/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100244
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はじめに
歩行とは,床面からの抗力によって身体を支持しながら,それを移動させる動作である.二足歩行では,その歩行周期において,重心より後方に下肢を保つことで足底部から前方への推進力が供給され,対側下肢を前方に振出すことによって新たな重心の支点が形成される.重心より前方に接地された足底部からは制動力がもたらされるが,重心がその足底圧中心より前方に送り出された時点でそれは推進力となる.これらがリズムをもって交互に行われることで,効率的な重心移動が実現する.
片麻痺の運動障害の本態は,半身の運動・感覚障害によって起こる非対称運動である.麻痺側の運動障害を非麻痺側が絶えず補うことで,さまざまなパフォーマンスが行われており,随意運動を実行するための筋活動の動員パターンや時系列は,むしろ非麻痺側で健常者のそれと様相を異にしている1).片麻痺歩行の評価の第一歩は,重心を移動するための動力源として,麻痺肢がどのように関わっているか,すなわち,推進力と制動力が麻痺肢からどのような形で供給されているのかを明らかにし,その過不足分を非麻痺肢がどのように代償して非対称運動を形成しているのかをとらえることにある.
本稿では,片麻痺歩行を考えるうえで必要なパラメータの特性と計測方法について述べたうえで,歩行分析がリハビリテーション治療に果たす役割について言及する.
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