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教育講座
歩行分析からみたリハビリテーション治療の効果
Effectiveness of Rehabilitation Treatments Assessed by Gait Analysis
島田 聡史
1,2
,
間野 直人
3
,
久保 峰鳴
3
,
長谷 公隆
2
Satoshi Shimada
1,2
,
Naoto Mano
3
,
Takanari Kubo
3
,
Kimitaka Hase
2
1関西医科大学くずは病院リハビリテーション科
2関西医科大学リハビリテーション医学講座
3関西医科大学大学院医学研究科医科学専攻リハビリテーション医学
キーワード:
歩行分析
,
片麻痺歩行
,
ボツリヌス療法
,
歩行支援ロボット
Keyword:
歩行分析
,
片麻痺歩行
,
ボツリヌス療法
,
歩行支援ロボット
pp.525-532
発行日 2023年6月18日
Published Date 2023/6/18
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- Abstract 文献概要
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- 参考文献 Reference
はじめに
歩行周期における立脚期では,身体を支持しながら効率的なリズム運動を管理する必要があり,そのバイオメカニクスは倒立振り子モデルとしてとらえられる.Perryら1)は,立脚期を初期接地期,荷重応答期,立脚中期,立脚期後期,前遊脚期の5相に分類し,矢状面でのヒールロッカー,アンクルロッカー,フォアフットロッカーによる回転軸の重要性を指摘している.立脚初期には前方に接地した支持脚へ荷重を移行していく際の衝撃を吸収するヒールロッカーを形成し,立脚中期にはアンクルロッカーを回転軸として運動エネルギーを位置エネルギーに変換する.そして立脚後期には,歩行運動を維持するための推進力を供給するフォアフットロッカーが機能する(図1-a).Kuoら2)は,踵接地時にもたらされる後方への床反力によるエネルギー損失(collision loss)に対して,立脚後期のpush-offをはじめとする動的な立位制御機構の重要性を指摘している.
下肢麻痺患者における歩行推進力の再構築は,リハビリテーション治療がめざすべき課題であり,股関節から床面への垂線と第5中足骨の線分がなす立脚後期のtrailing limb angle(TLA)とpush-offを形成する足関節底屈モーメントが重要である(図1-b)3).これらに及ぼすリハビリテーション治療の効果を歩行分析によって客観的にとらえることで,治療アルゴリズムを形成していく必要がある.本稿では,片麻痺患者に対する歩行分析からみたボツリヌス毒素療法およびロボット歩行支援訓練の効果を提示して,定量的歩行分析の意義について考察する.
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