Japanese
English
調査
肺移植術前後における作業療法―移植適応評価入院時から術後の社会復帰まで
Occupational therapy before and after lung transplantation:from hospitalized evaluating transplantation to returning to society after operation.
髙島 千敬
1
,
松尾 善美
2
,
内山 昌子
1
,
小浦 綾乃
1
,
井上 悟
1
,
南 正人
3
,
松田 暉
3
Kazunori Takashima
1
,
Yoshimi Matsuo
2
,
Akiko Uchiyama
1
,
Ayano Koura
1
,
Satoru Inoue
1
,
Masato Minami
3
,
Hikaru Matsuda
3
1大阪大学医学部附属病院リハビリテーション部
2神戸学院大学総合リハビリテーション学部
3大阪大学大学院医学系研究科未来医療開発専攻組織再生医学講座臓器制御外科
1Department of Rehabilitation, Osaka University Hospital
2Faculty of Rehabilitation, Kobe Gakuin University
3General Thoracic Surgery, Department of Surgery, Osaka University Graduate School of Medicine
キーワード:
肺移植
,
作業療法
,
職業復帰
Keyword:
肺移植
,
作業療法
,
職業復帰
pp.1159-1165
発行日 2005年12月10日
Published Date 2005/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100235
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はじめに
肺移植では,他に治療法のない末期の肺疾患が対象とされる.海外では1983年にカナダのCooperらによる成功例が報告されて以降,急速に普及し,2001年末までに世界中で14,588例に実施されている.一方,わが国では1997年に臓器移植法が施行され,1998年10月28日に初の生体肺移植が,2000年3月29日には初の脳死肺移植が実施された.2004年11月末までに脳死肺移植は19例,生体肺移植が43例に施行されている.そのうち,当院では国内初の脳死肺移植を含め,これまでに脳死肺移植5例,生体肺移植4例が実施されており,術前後にはリハビリテーションを施行している.
近年,ドナー不足による脳死臓器移植の待機期間の長期化が社会的な問題となっている.それゆえに待機期間のADL(activities of daily living)をいかに維持していくかが重要となり,肺移植適応評価目的の入院時におけるADL指導1)はその一助となると考えられる.また,移植後の心理機能や生活の質,社会復帰についても注目されるようになってきており,家庭復帰や職業復帰に関する支援も欠かせないものである2).しかしながら,筆者らが検索した限りでは,肺移植前後における作業療法の介入に関する報告は移植先進国である欧米ではなく,わが国で散見されるのみである3,4).
今回,肺移植術前後における作業療法の介入について後方視的に調査し,今後の介入の方向性を検討したので,術前後を通じて介入することができた事例の経過の紹介とともに報告する5).
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