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はじめに
痙縮は脳血管障害,頭部外傷,脊髄損傷など中枢神経障害において認められる症状の一つであり,随意運動を困難にする要因となり,さらには歩行や日常生活動作の能力低下を引き起こす1).リハビリテーションにおける痙縮へのアプローチとして,理学療法,作業療法1,2),物理療法(温熱療法,寒冷療法など)2,3),装具療法(inhibitor barなど)4),薬物療法1,2,5),ブロック療法(フェノールブロック,ボツリヌス毒素,muscle afferent block)1,2,6),整形外科的療法(切腱術,腱延長術,腱移行術)1,2)などが知られている.
近年,痙縮に対する新しい治療法として,Gros7)が1979年に痙性筋への運動神経を選択的に減少させる方法を報告し,1988年にSindouら8)によって顕微鏡下末梢神経縮小術が確立された.その代表として選択的脛骨神経縮小術があり,この手術は尖足,内反尖足などの足部変形に対して,痙性筋を支配する運動神経の太さを直径が1/3~1/4になるように縮小して痙縮を軽減させ,随意運動を温存することを目的としている.そして,術中に電気刺激を用いることによって目的とする運動神経を同定するため,感覚神経との分離が可能であり,術後に感覚障害は出現しないとされている8-12).
当院において,2002年7月から2004年8月までに選択的脛骨神経縮小術が13症例に施行され,術後の理学療法を施行した.今回,歩行自立していた10症例において,足関節の痙縮および歩行能力の術後変化から選択的脛骨神経縮小術の効果を検討し,本手術による歩行能力の改善に影響を与える術前因子について検討したので報告する.
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