連載 Focus On
肺移植の適応と実際
登 祐哉
1
,
安樂 真樹
1
1東京都健康長寿医療センター呼吸器外科
キーワード:
肺移植
,
呼吸不全
,
適応疾患
,
移植登録
,
移植待機期間
Keyword:
肺移植
,
呼吸不全
,
適応疾患
,
移植登録
,
移植待機期間
pp.149-155
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika133_149
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肺移植は進行性の難治性慢性呼吸器疾患に対する唯一の根治的な治療法である.本邦で初めての肺移植が実施されてから25年が経過し,その実施件数は増加傾向にある.その適応は病状が進行して肺移植以外の治療法がない症例で,さらに年齢,精神面での安定性,社会的なサポート状況なども考慮して判断される.実際に肺移植が施行された疾患としては間質性肺炎が最も多く,肺高血圧症や造血幹細胞移植後肺障害も含めると過半数を占める.実際に肺移植を受けるまでには長い待機期間があるため,病状が進行し筋力低下をはじめとした全身状態の悪化をきたす前に肺移植登録を行うことが重要である.長期にわたる肺移植の待機期間は,臓器提供が不十分であることが一因で生じるため,十分な脳死ドナーの確保を進める必要がある.また,待機期間中の死亡率を減少させるために,臓器提供の順位づけのためのスコアリングシステムの導入が有効かもしれない.
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