Japanese
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研究と報告
重度慢性閉塞性肺疾患患者における下肢筋力トレーニングの安全性―膝伸展筋力トレーニング中の呼気ガス応答と経皮的酸素飽和度の変化
Safety of lower extremity muscle strength training for patients with severe chronic obstructive pulmonary disease:changes in ventilatory response and transcutaneous oxygen saturation during knee extension muscle strength training.
横山 仁志
1
,
山﨑 裕司
2
,
大森 圭貢
3
,
近藤 美千代
1
,
平木 幸治
1
,
松下 和彦
1
,
飯島 節
4
Hitoshi Yokoyama
1
,
Hiroshi Yamasaki
2
,
Yoshitsugu Omori
3
,
Michiyo Kondou
1
,
Koji Hiraki
1
,
Kazuhiko Matsushita
1
,
Setsu Iijima
4
1聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部
2高知リハビリテーション学院理学療法学科
3聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院リハビリテーション部
4筑波大学心身障害学系
1Department of Rehabilitation Medicine, St Marianna University School of Medicine Hospital
2Department of Physical Therapy, Kochi Rehabilitation Institute
3Department of Rehabilitation Medicine, St Marianna University School of Medicine, Yokohama City Seibu Hospital
4Institute of Disability Sciences, University of Tsukuba
キーワード:
慢性閉塞性肺疾患患者
,
下肢筋力トレーニング
,
経皮的酸素飽和度
,
安全性
Keyword:
慢性閉塞性肺疾患患者
,
下肢筋力トレーニング
,
経皮的酸素飽和度
,
安全性
pp.759-766
発行日 2005年8月10日
Published Date 2005/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100157
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はじめに
多数の無作為化比較対照試験において,慢性閉塞性肺疾患患者(以下,COPD)に対する下肢持久性トレーニングの有用性が実証され,COPD患者に対する運動療法としては最も推奨されている1).さらに最近では,持久性トレーニング単独に比較して,COPD患者に対する下肢筋力トレーニングの併用は,運動耐容能改善や動作時息切れ感の軽減においてより効果的なことが報告されるようになった2,3).
下肢筋力についてはCOPD患者における運動制限要因としても注目されており4,5),われわれは,重症COPD患者において主要な移動動作が制限されうる水準まで下肢筋力の低下が進行していることを明らかにした6).これらの事実は,COPD患者に対する下肢筋力トレーニングの重要性を示唆していると言えよう.
下肢筋力トレーニングの安全性については,過剰な血圧上昇や不整脈の誘発が懸念されるとの理由から,1980年代までは冠動脈疾患患者に対して積極的に処方されることはなかった.しかし,近年の研究において,トレーニング中の心拍血圧反応は,トレーニング形態にさえ注意すれば,安全に処方できる範囲であることが明らかとなっている7).COPD患者における筋力トレーニングは,これまでも臨床で実施されてきたが,低強度の運動において低酸素血症が誘発されるような重症例での安全性に関する検討はない.
そこで今回われわれは,COPD患者に対する下肢筋力トレーニングの安全性を検討するため2つの研究を行った.
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