Japanese
English
研究と報告
転倒による大腿骨頸部骨折症例の下肢筋力と歩行補助具・歩行スピードの関係
Relationship between lower extremity strength and gait aid, gait speed in hip fracture due to fall.
萩原 洋子
1
,
松下 和彦
2
,
石井 庄次
2
,
別府 諸兄
2
,
青木 治人
2
,
坂本 雅昭
3
,
茂原 重雄
3
Yoko Hagiwara
1
,
Kazuhiko Matsushita
2
,
Shouji Ishii
2
,
Moroe Beppu
2
,
Haruhito Aoki
2
,
Masaaki Sakamoto
3
,
Shigeo Mohara
3
1聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部
2聖マリアンナ医科大学整形外科
3群馬大学医学部保健学科
1Department of Rehabilitation Medicine, St Marianna University School of Medicine Hospital
2Department of Orthopedic Surgery, St Marianna University School of Medicine
3Department of Faculty of Medicine, Gunma University
キーワード:
転倒
,
大腿骨頸部骨折
,
筋力
,
歩行
Keyword:
転倒
,
大腿骨頸部骨折
,
筋力
,
歩行
pp.661-665
発行日 2005年7月10日
Published Date 2005/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100137
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はじめに
大腿骨頸部骨折(femoral neck fracture;FNF)の新発生患者数は増加の一途をたどっている1).FNF受傷原因の85%を占める転倒は,年齢が増すにつれ増加する2,3).そこでFNFは,高齢化社会を迎え,さらに増加すると予測される.
FNF受傷後の日常生活自立度は,約7割の症例で低下し4),受傷後6か月から1年でのQOL(quality of life)は,同年代の高齢者よりも低いことが明らかになっている5).また,死亡率は健常高齢者のほぼ3倍に達すると報告されている6).これらのことから,FNFの予防および治療における理学療法的介入は,医学的・社会的に大きな課題であると言える.
筆者らは,下肢筋力が独立してFNF症例の歩行能力に影響を与えることを報告した7).さらに手術前後の臥床期間でもトレーニングにより増加し,離床早期の移乗や自立歩行に影響を及ぼすことを明らかにした8).このように理学療法士が関与することで変化させることのできる下肢筋力は,FNF症例の理学療法を施行するにあたり着目する必要のある要因である.
しかしながら,具体的にどの程度の下肢筋力の症例が,どのような歩行補助具を使用して歩行しているのか,は明らかにされていない.もし,歩行補助具歩行の下肢筋力水準が具体的数値で提示可能であれば,FNF症例の問題点抽出,プログラム作成,治療期間やゴール設定に有用となる.
本研究の目的は,FNF症例の歩行補助具,歩行スピードと下肢筋力の関係を明らかにし,手術後のゴール設定,理学療法プログラム立案の一助にすることである.
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