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はじめに
藤田保健衛生大学七栗サナトリウム(以下,当院)リハビリテーションセンターでは,2000年12月より新しいリハビリテーションシステム,Full-time Integrated Treatment program(以下,FIT program)1,2)を回復期リハビリテーション病棟にて実施している.FIT programは訓練時間と頻度の増大,リハビリテーションチームワークの強化,患者・家族のリハビリテーション参加強化を目的としたシステムである.われわれは,歴史的対照比較試験(trial with historical controls)を用いた検討により,このプログラムの効果として,より短い在院日数でより大きなADL(activities of daily living)の改善が得られることを報告してきた3-5).
早期退院のためには,患者自身の能力向上に加え,退院後の生活に大きな影響を与える家族の協力や患者の障害に対する心理的適応は必須である6).家族の協力を得るためには,障害の予後や退院準備に対する情報の提供が重要であり7,8),当院では脳卒中リハビリテーション教室(以下,脳卒中教室)を情報提供の一手段として実施している9).
ところで,脳卒中教室の実施形態は目的により相違している.脳卒中の機序,症状,リスク管理などの医学的情報提供10,11),介助方法の指導,退院後生活の指導10,12),そして,家族の心理的ケア13)などがその目的として報告されている.また,その目的の違いにより,方法と実施時期も相違しており,各セクションに分けて入院期間に数回行うもの10,11),1日のみで入院初期に行うもの14),あるいは退院前に実施するもの15)が報告されている.また,その効果の有用性については,脳卒中教室による情報提供が脳卒中の帰結に良い効果をもたらすと報告されている7,8,13,15).
当院の脳卒中教室は,回復期リハビリテーション病棟入院の脳卒中患者およびその家族を対象として入院早期に実施している.当院ではFIT programという未だ一般的ではないシステムでリハビリテーションを実施しており,そのために比較的退院時期が早いことから,最初の段階でのオリエンテーションが必要と考えているためである.実際には,脳卒中教室を5人から10人の小グループ制で毎週1回行うことで,少なくとも入院2週間以内の参加を可能としている.家族には入院時に担当看護師より脳卒中教室を紹介し,特に患者との続柄で制限することなく参加を呼びかけている.また,患者自身が参加するかどうかは,本人および家族の意志に任せている.主な内容は,FIT programのオリエンテーション,脳卒中という疾患とその障害の理解,患者と家族の能動的参加の必要性および早期退院準備の指導である.
今回は,この脳卒中教室により患者とその家族の理解度にどのような変化が生じたかを検討したので報告する.
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