Japanese
English
研究と報告
「母指探し試験」を用いた上肢動作の俊敏性に影響する要因の検討
The study of factors which influence quickness of the upper extremity movement by“thumb localizing test”.
福田 妃佐子
1
,
近藤 健男
2
,
飛松 好子
3
,
河合 玄太
4
,
岩谷 力
1
Hisako Fukuda
1
,
Takeo Kondo
2
,
Yoshiko Tobimatsu
3
,
Genta Kawai
4
,
Tsutomu Iwaya
1
1国立身体障害者リハビリテ-ションセンター
2東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動障害学講座肢体不自由学分野
3広島大学医学部保健学科
4埼玉医科大学総合医療センター
1National Rehabilitation Center for the Disabled
2Department of Rehabilitation Medicine for the People with Physical Disability, Tohoku University Graduate School of Medicine
3Hiroshima University Institute of Health Sciences, Faculty of Medicine
4Department of Rehabilitation, Saitama Medical Center and Medical School
キーワード:
上肢運動機能
,
母指探し試験
,
俊敏性
,
長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
Keyword:
上肢運動機能
,
母指探し試験
,
俊敏性
,
長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
pp.265-270
発行日 2005年3月10日
Published Date 2005/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100064
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はじめに
老齢人口の増加に伴い,疾病により重度の障害をもった高齢者のみならず,重度の障害をきたしていない高齢者においても作業療法の需要が高まってきている.このような高齢者に対する作業療法においては,障害像の客観的評価または治療効果の判定のためにも,老化度の指標となるさまざまな機能について,加齢による変化を把握しておくことは大切である.作業療法においては,特に上肢の運動機能がどのように変化しているのかを知ることが重要になってくると考えられるが,高齢者の上肢運動機能の低下には,筋骨格系・感覚系・神経系などの加齢による変化が影響を及ぼすと報告されている1).今回われわれは,健常高齢者の上肢運動機能の俊敏性に着目し,“母指探し試験”2)を用いて,それに影響を与える要因について検討を行った.
“母指探し試験”は,閉眼下で受動的に固定されている一側上肢(固定肢)の母指を他側上肢(運動肢)の母指と示指とでつかませる検査で,評価法も表1のごとく簡便で,深部感覚障害を鋭敏に検出できる有用な方法であると言われている3,4).
今回われわれは,この試験で運動肢の運動機能を評価できないかと考え,“母指探し試験”における“母指探し到達時間”(以下,到達時間)の測定を行った.到達時間をもとに,日常生活に支障のない健常高齢者における上肢運動機能について検討した.
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