連載 インシデント,ヒヤリハットから学ぼう・第1回【新連載】
インシデントは予防できるか?—インシデントから学ぶこと
谷口 千明
1
Chiaki TANIGUCHI
1
1放射線第一病院リハビリテーション科
pp.841-845
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203123
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インシデントとは
インシデントとは,医療事故および事故につながる恐れのあったもの(ヒヤリ・ハット)のことである.「1件の重大事故の裏には29件の軽微な事故と300件の怪我に至らない事故がある」—これは,労働災害における怪我の程度を分類し,その比率を表したハインリッヒの法則といわれるものである.ハインリッヒの法則は,重大な事故の背後には一定数の軽微な事故や「インシデント」があるということを示している.
さて,昨今では医療法などの法的根拠に基づき,医療安全管理のための指針の整備や職員研修などが義務づけられており,各施設でもそれらについて取り組まれていると思う.そのなかの一つに,「インシデントレポート(ヒヤリ・ハット報告)」がある.インシデントレポートとは,個人を罰することではなく,事故の再発防止に活用することを目的とし,事象における問題を分析し,改善することで事故を未然に防ぐという意義がある.
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