実践報告
インシデントレポートの開発とその評価
山嵜 絆
1
,
北沢 直美
2
,
阿部 俊子
3
1東京都済生会中央病院看護部
2東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科
3東京医科歯科大学
pp.986-990
発行日 2001年12月10日
Published Date 2001/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901356
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はじめに
連日のように医療事故が報道され,医療従事者だけでなく,社会全体が注目している問題となっている。医療過誤訴訟第一審新規受付件数は,1999年で638件であり,過去10年間で約1.8倍に増加した1)。また,訴訟にまで発展する医療過誤は医療事故の氷山の一角であり,実際の医療事故はその数十倍あるといわれている2)。医療過誤訴訟の増加の背景には,1)患者の権利意識の向上,2)医療の進歩に伴う患者側からの医療の成果への期待の高まり,3)対象となる患者の高齢化や入院期問の短縮に伴う患者の入れ替わりの早さという医療事故につながる要因の増加などがある2-4)。
このような背景から病院としては,医療訴訟への対策だけではなく,医療の質を保証するという観点から,医療事故防止に組織として取り組むことが緊急課題となっている5,6)。
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