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編集後記
福井 勉
pp.492
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202292
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昔,ファインマンがアイソレーションタンクに入るのが好きであったことを何かで読んだ覚えがありますが,自分と自分以外の境界には皮膚があります.自分で自分に触れればこの中身こそが「自分である」ということがわかります.自分の基も外側の領域である皮膚には免疫を含んだ身体防御を行う重要な機能があります.そしてそこに70kmの長さを超える末梢神経の一部が分布しています.自分で最もよく見ることができるにもかかわらず,皮膚にある皮神経にはまだ解明されていないことだらけです.
本特集は,歴代の本誌からすると少々マニアックな特集となりました.今西先生が述べられている神経滑走を許す組織との関係は理学療法を考えるうえで大変参考になります.また北野先生からは,神経絞扼に関する最前線のハイドロリリースについて理学療法への期待も含めてご執筆いただきました.Diane Jacobs先生(カナダ),Esther de Ru先生(オランダ)はご自身の講演を世界中でされていますが,今回その技術の一端をご紹介いただきました.杉浦先生からは今話題になっている滑走について,鈴木先生からは触圧覚刺激についてそれぞれ基礎知見も含めてご報告いただきました.また,臨床的方法論として土持先生,財前先生,上田先生からも有益な知見をご紹介いただきました.「皮神経が疼痛に関して重要な鍵を握っている」ことがお伝えできれば嬉しく思います.
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