特集 皮神経滑走と運動療法の新知見
—エディトリアル—皮神経の展望
福井 勉
1
Tsutomu FUKUI
1
1文京学院大学保健医療技術学部
pp.374-376
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202266
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「皮膚は身体最大の臓器である」という表現は皮膚科の教科書などをはじめ,皮膚の説明に頻繁に用いられる.本特集を依頼した海外の理学療法士両氏とも,理学療法士は皮膚についてもっと重要視する必要があると述べている.われわれ理学療法士は人の体に触れる機会があまりに多いが,そうであるがゆえに,触れること以外のことのほうに意識が向けられていると感じるときもある.しかし人の体は触れられることでさまざまな受容器が反応しているため,触覚に関する影響を考えざるを得ない.
皮膚における触覚受容器は,low threshold mechano-receptor(LTMR)と呼ばれる4種類の機械受容器について,守備範囲と適応への速さから(slowly adapting receptor)SAⅠ,SAⅡ,(rapidly adapting receptor)RAⅠ,RAⅡと分類されている.メルケル細胞は,表皮と真皮の境界に位置し,皮膚の変形,やさしく触れられた刺激に反応しSAⅠに該当する.ルフィニ終末はSAⅡに該当し,真皮で皮膚伸張に応答し,順応速度は遅い.マイスネル小体はRAⅠであり,表皮下層にあり,圧力に速やかに順応,振動のようなダイナミックな刺激に反応する.パチニ小体はRAⅡに該当し,守備範囲が広く,速い順応を示し,真皮下層や皮下組織にある.
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