Japanese
English
特集 腰やお尻の痛み—非腰椎性腰殿部痛の診断と治療
中殿皮神経障害
Middle Cluneal Nerve Entrapment Neuropathy
松本 順太郎
1
,
井須 豊彦
2
,
金 景成
3
,
三木 浩一
2
,
森本 大二郎
4
Juntaro MATSUMOTO
1
,
Toyohiko Isu
2
,
Kyongsong Kim
3
,
Koichi Miki
2
,
Daijiro Morimoto
4
1福岡大学医学部脳神経外科
2釧路労災病院脳神経外科
3日本医科大学千葉北総病院脳神経外科
4日本医科大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Faculty of Medicine, Fukuoka University
キーワード:
中殿皮神経
,
middle cluneal
,
絞扼性神経障害
,
entrapment neuropathy
,
腰殿部痛
,
low back pain
Keyword:
中殿皮神経
,
middle cluneal
,
絞扼性神経障害
,
entrapment neuropathy
,
腰殿部痛
,
low back pain
pp.129-134
発行日 2019年2月25日
Published Date 2019/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201054
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はじめに
腰痛診療ガイドライン2012によると,腰痛の85%は原因が特定できない非特異的腰痛に分類されている.われわれはこのような原因が特定できない腰痛に関して,仙腸関節障害や上・中殿皮神経障害,中殿筋障害,梨状筋症候群などの腰椎周辺疾患に着目して治療を行ってきた2,3,7,10).上殿皮神経障害をはじめ,これらの腰椎周辺疾患についてさまざまな報告がされてきているが,中殿皮神経障害に関する報告はいまだ少ない.1957年にStrongら12)は30例,39側の腰殿部痛を起こした上・中殿皮神経の遮断術を報告しているが,57%の症例で鼠径部痛もしくは下肢痛を認め,手術により80%の症例で症状が改善した.30例中5例にあったS1-2領域の下肢症状に関しては,中殿皮神経遮断術で改善したと記載されている.その後長い間,渉猟し得る範囲では文献的な報告はみられず,近年になって2016年にAotaら1)が中殿皮神経の剝離術により腰殿部痛が改善した症例を報告し,2018年にわれわれもParkinson病に合併した中殿皮神経障害の症例報告4),および11例13側の中殿皮神経障害例に対する中殿皮神経剝離術の詳細な外科手技と,その治療成績を報告した8).本稿では,われわれの経験をもとに,中殿皮神経障害の臨床的な特徴や診断,治療について解説する.
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