連載 診療参加型臨床実習・第3回
臨床実習の体験からしか学べないこと—診療参加型臨床実習のコア・コンテンツ
佐藤 房郎
1
Fusao SATO
1
1東北大学病院リハビリテーション部
pp.324-330
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202250
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臨床実習のあるべき姿
医学教育における知識偏重型の問題が指摘され,臨床実践能力を高める評価指標の整備と臨床教育のありかたが見直されてきた.この医学教育の潮流を変えた概念にMillerのピラミッド註1,1)があり,臨床で求められる認知から行動への過程が示されている.この概念はさらに発展しエキスパートに求められる知識や技術に態度が加えられたMillerのプリズムとして表され2),医学生の行動規範を示すモデルとなっている.
理学療法領域の臨床実習形態は,この医学教育の潮流を受けてシステム整備が進められ,診療参加型臨床実習(clinical clerkship system:CCS)の実践が推奨されている.CCSは,指導者の診療に付き添いながら医療全体の流れを把握し,許可された医療行為を実践するもので,助手的にかかわりながら患者の病態把握のための検査と診断,そして治療手技の選択から実践に至る臨床推論と意思決定の流れを学ぶものである.また,医療従事者としての立ち振る舞いを習得し,専門職に求められるチーム内の役割を理解する機会を得る.
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