連載 再考します 臨床の素朴な疑問・第3回
運動療法によって膝前十字靱帯の再断裂予防は可能か?
今屋 健
1
Takeshi IMAYA
1
1関東労災病院中央リハビリテーション部
pp.321-323
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202249
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
膝前十字靱帯(anterior cruciate ligament:ACL)再建術後の最大のリスクは,移植した再建靱帯の再断裂である.Wigginsら1)のシステマティックレビューによると,ACL再建術後の再断裂率は全体では7%,25歳以下のスポーツ復帰したアスリートに限定すると11%であった.関東労災病院で2010年1月〜2018年12月の9年間で3,173件の半腱様筋による二重束再建術(初回片側)を行い,術後10か月以上のフォローが可能であった2,423症例(follow-up rate 76.4%)の調査では,同側の再断裂を生じた症例は134名,再断裂率は5.53%であった.
このように,ACL再建術後に再断裂予防を含むリハビリテーションが行われているにもかかわらず,一定の割合で再断裂が生じている.当然ながら再断裂率は調査時の状況によって異なり,フォローアップ率が高く,追跡期間が長くなるほど再断裂率は高くなる.なお,本稿で述べる再断裂とは,再建靱帯が再び断裂してしまうことであり,対側のACL損傷は含まない.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.