特集 これからの生活習慣病対策
これから必要とされる保健指導のコンテンツとは?
津下 一代
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1あいち健康の森健康科学総合センター
pp.796-801
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100317
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新しい生活習慣病対策では,「メタボリックシンドローム」に注目している。メタボリックシンドロームに注目する意義は何か,また,その対策がどのような効果を生みだすのか。
医療制度改革と保健指導
2008(平成20)年度から始まる医療制度構造改革では,実効性のある健診・保健指導を実施することによって,糖尿病などの生活習慣病有病者・予備群を25%削減することを目標としている。これまでも老人保健事業や健康保険法,労働安全衛生法などにもとづく保健事業が行われてきたが,今回の改革の要点は,①生活習慣病対策の目標の明確化,②効果的かつ効率的な保健指導の実施,そのために健診・保健指導にメタボリックシンドローム(以下,「MetS」)の概念を導入,③保険者(健康保険組合)に健診・保健指導を義務化,④健診データ,レセプトデータなどの分析と評価基準の標準化,があげられる(図1)。
これまでの保健事業では,主に実施件数を報告する義務にとどまっており,保健指導はどちらかといえば健診の付加的存在として扱われてきた。今後は,保健指導によって対象者の行動変容を引きおこし生活習慣病を確実に予防することに重点が移り,保健指導の効果をさまざまな角度から検証していくことになる。また,保健事業の実施状況やその効果によっては,後期高齢者医療制度への支援金を加算あるいは減算するというしくみが設けられているため,効果的な保健指導を実施することへの期待とプレッシャーがより高まることが予想される。
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