連載 臨床実習サブノート 「日常生活活動」をみる・9
車椅子移動
金子 巧
1
Takumi KANEKO
1
1新潟リハビリテーション病院リハビリテーション部
pp.104-113
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201783
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活動としての車椅子移動の捉え方—機能,安全,リスク管理
近年,病棟での日常生活活動(ADL)のアプローチが重要視され,早期介入,早期退院が求められています.そのため,早期から離床機会を増やし,活動性を向上することが求められます.何らかの障害を負い歩行が困難となった場合,移動の代替手段として車椅子が選択されることがあります.患者さんの移動手段として歩行が自立するには数週間から数か月かかります.また,自立に至らないこともあります.その期間寝たきりに陥らないため,廃用症候群,不活動を予防しなればなりません.早期に日常生活の活動性の向上をすることが望まれます.ある程度座位保持が可能になってくると,車椅子での移動が始まり,生活空間は拡大し,活動性の向上が見込めます.そのため,車椅子移動は歩行を再度獲得するまでの代替手段として大変重要な移動手段です.
車椅子を日常生活のなかで必要とする対象者は,脳卒中後遺症,脊髄損傷,下肢切断,虚弱高齢者など多様です.特に脳卒中片麻痺患者や脊髄損傷者の場合,車椅子が生活場面で必要になる場合が多いです.脳卒中患者では約40%は歩行を獲得できずに退院することが知られています1).また,屋内は歩行可能であるが,屋外は車椅子を使用するなど,歩行と車椅子を併用することも少なくありません.そのため車椅子移動のニードは高いものと言えます.
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