扉
車椅子について
藤井 清孝
1
1北里大学脳神経外科
pp.407-408
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901204
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最近テレビで身体障害者が使用している車椅子に関する報道番組を見た.番組では健康な出演者が車椅子に乗って通常の道路を通行し,如何に現在の道路施設が障害者にとって障害物が多く,不便かつ危険なものであるかを示していた.障害者にみんなでもっと励ましと暖かい配慮を差し伸べよう,そして道路をはじめ社会公共施設をもっともっと安全で配慮の行き届いたものにしようという主張であった.同感でありわれわれは今後もっともっと歩道を広く段差のないものにすることや車椅子で移動できる乗物の充実など公共施設,交通機関の整備を主張し,弱者に優しい施策,教育を押し進める必要があると思う.
それとともにこの番組をみてふと考えたことがあった.それは現在使用されている車椅子のほとんどは病院などの平坦な屋内で使用する目的でしか作られていないことである.そのような車椅子で外出しようとすればあたかも室内履きで野外歩きをしようとしているような無理がでてくるのは当然である.それなら発想を転換して屋外用車椅子を製作すれば現在の道路事情でもより安全かつ行動範囲を拡げることができるのではないかと考えた.現在屋外用の車椅子としては身障者車椅子レース用としてスピードのでる車椅子があるが特殊なもので段差の多い街中で使えるものではない.電動式車椅子はすでに市販されているが今の所少し値段が高いようである.
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