臨床のコツ・私の裏ワザ
骨盤,股関節の代償に注意した中臀筋の筋力トレーニングのコツ
渡部 実
1
1蘇生会総合病院リハビリテーション科
pp.846-847
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201306
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股関節伸展時の内旋による代償
股関節伸展時の代償として骨盤の後退がみられます.この状態で骨盤の後退を徒手的に修正すると股関節の内旋角度が増加します(図1).外見上は膝蓋骨の外側偏移により外旋しているようにみえますが,大転子,内・外側上顆で触診することで股関節の内旋方向に動いていることが確認できます.この状態で膝関節の屈曲(大腿直筋による影響),下腿の内旋操作(大腿筋膜張筋による影響)を加えても骨盤の動きはみられにくいです.また,股関節内旋の代償に注意して股関節の伸展方向への動きを行うと,上記の代償より早い段階で股関節の伸展へ影響を及ぼしていることが確認できます.内転筋群,体幹屈筋群にアプローチすることで相対的に挙上されていた骨盤が改善されます.骨盤の挙上位,股関節の内旋角度が十分に改善されることで大腿筋膜張筋や小臀筋の伸張位が改善され,中臀筋が収縮しやすい状態では上前腸骨棘と大転子の間で,2横指程度の窪みが触知できます.
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