訪問ほっとらいん
QOLを高める「人工臀筋つきおむつ」の開発
佐藤 厚子
1
,
工藤 雄行
2
1弘前医療福祉大学保健学部看護学科
2弘前医療福祉短期大学部生活福祉学科
pp.255
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688200136
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看護・介護の現場では、多量の排便が寝衣やシーツを汚染し、看護・介護者がその始末に多くの時間を費やす場面をよく目にする。一方、多くの病院や介護施設では、1日のスケジュールの中でおむつ交換の時間があらかじめ決まっているため、要介護高齢者は長時間便汚染にさらされ、そのことがびらんや褥瘡悪化などの原因になっている場合がある。何より、臀部や会陰、背部など広範囲に広がった排泄物が長時間皮膚に接触している不快感は、要介護高齢者のQOLを著しく損なう。そこで私たちは、排泄物を皮膚に直接接触させないケアを目的とし「人工臀筋」と「新式おむつ(人工臀筋つきおむつ)」を開発した*1。
人工臀筋は、外枠の長さが32×34cmの楕円形のクッションで、3層にわたって組み合わせた低反発素材と高反発素材で構成されている。厚さは前部6cm、後部3cmで、中心部には幅6×13cmの穴が空いている。人工臀筋の上にカバーをかけ、新式おむつを装着して使用する(写真)。新式おむつは、会陰に当たる部分が袋状のバッグになっていて、排泄すると便がそのバッグ内に収納される仕組みになっている。バッグは約300mlの水分量を吸収する高分子吸収素材でできているため、軟便や水様便が漏れにくい。
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