入門講座 筋力トレーニング・4
筋機能,痛みを考慮した筋力トレーニング
平川 善之
1
Yoshiyuki Hirakawa
1
1福岡リハビリテーション病院リハビリテーション部
キーワード:
解剖学的特性
,
痛み
,
運動イメージ
Keyword:
解剖学的特性
,
痛み
,
運動イメージ
pp.749-755
発行日 2018年8月15日
Published Date 2018/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201284
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はじめに
筋力トレーニングは,われわれ理学療法士が日常臨床で行う治療的介入手段として,最も多いものの1つであろう.代表的な運動器疾患における筋力トレーニングの推奨度を,日本理学療法士協会の定めるガイドラインをもとにみてみると,変形性膝関節症1)では膝関節痛や歩行機能などに対し,推奨グレードAエビデンスレベル1で,同様に人工膝関節置換術においても推奨グレードAエビデンスレベル2とされている.また慢性腰痛2)においては,痛みに対する効果として,推奨グレードBエビデンスレベル3とされている.さらに肩関節周囲炎3)においても,筋力トレーニングを含めた理学療法は,痛みや運動機能に対する効果として推奨グレードBエビデンスレベル2とされている.また変形性股関節症の診療ガイドライン4)をみても,筋力トレーニングを含めた理学療法は,疼痛や機能障害の改善に対し推奨グレードはBとされている.
こうしたことから,より効果的な筋力トレーニング方法を考慮して実践することは,理学療法士として必須である.そのためには,目的とする筋群の生理・解剖・運動学的特徴を把握し,念頭においたうえでプランニングする必要がある.
また,効果的な筋力トレーニングを行ううえで支障となるものとして,痛みがある.痛みが筋力トレーニングの実施とその効果に与える影響を考慮したうえで,具体的な方法を決定する必要がある.本稿ではこれらを踏まえ効果的な筋力トレーニングについて概説する.
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