入門講座 「はじめて」への準備(クリニカルリーズニング編)・1【新連載】
心機能低下のある患者の理学療法におけるクリニカルリーズニング
田屋 雅信
1
Masanobu Taya
1
1東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
キーワード:
心不全
,
フィジカルアセスメント
,
目的別プログラム
Keyword:
心不全
,
フィジカルアセスメント
,
目的別プログラム
pp.905-912
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201007
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はじめに
心収縮機能が低下した心不全とは,心疾患(心筋障害)により心臓のポンプ機能が低下し,末梢主要臓器の酸素需要量に見合うだけの血液量を供給できなくなった状態を指す.心疾患の病態によって生じる症状(息切れなど)や現象(酸素化障害など)が異なるため,症状と現象の有無や程度(重症度)を評価することから始める.また,ケースレポート作成の際には,「診断名」に心不全のみを記載するのではなく,原疾患も併記する.
まずは患者を訪問する前に診療録,検査所見から客観的な情報収集を行い,患者の状況を予測する.実際に患者を訪問したらフィジカルアセスメントを行い,理学療法の禁忌に該当していないか,事前に収集した情報と乖離がないかを確認する.初回評価から翌日以降は,前日との違いを常に評価し,理学療法を行ったことで心不全症状が悪化していないかを再評価する.悪化していなければ理学療法を進めていく.この一連の繰り返し作業が,心不全に対するクリニカルリーズニングのプロセスである.
急性期では昨日と比べてどうか(daily monitoring),外来や在宅では数日あるいは数週間・1か月前と比べてどうか(weekly monitoring・monthly monitoring)を確認する.さらには治療(薬物療法など)が変わってどうか,運動時に現れる所見はないか,についても評価する.
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