特集 クリニカルリーズニング
クリニカルリーズニング―理学療法士に求められる臨床能力
内山 靖
1
Uchiyama Yasushi
1
1名古屋大学医学部保健学科理学療法学専攻
pp.93-98
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101346
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はじめに
クリニカルリーズニング(clinical reasoning)は,臨床推論と邦訳される.
臨床現場では,原語をそのままカナ読みでクリニカルリーズニングと呼ぶことが多く,本稿でも特集タイトルに合わせてカナ表記を用いる.
クリニカルリーズニングとは,対象者の訴えや症状から病態を推測し,仮説に基づき適切な検査法を選択して対象者に最も適した介入を決定していく一連の心理的過程を指す1~6).この過程は,気づきとともに経験や知識に基づく論理的思考による鑑別と選択の連続で,仮説を検証する工程を繰り返している.これが推論と呼ばれる所以である.ちなみに,reasonには,わけ,(背後の)理由,根拠,推理,分別,理屈などの意味がある.
クリニカルリーズニングは,臨床思考過程の呼称の1つで,そのほかにも臨床意思決定(clinical decision making)や臨床判断(clinical judging)などの用語がある.いずれも思考過程が発達した領域や背景に応じた特徴の違いによる呼称である.
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