特集 クリニカルリーズニング
理学療法士養成課程におけるクリニカルリーズニング教授法
有馬 慶美
1
Arima Keimi
1
1新潟保健医療専門学校
pp.101-105
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101347
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はじめに
人は日々の生活の中で常に問題を抱え,問題の原因や解決策をリーズニング(以下,推論)しながら,それを解決し生活している.例えば,自分が運転している車が急に動かなくなったら,「ガス欠か?」と推理し,ガソリンメータを見る.ガソリンが空ならば,「一番近いガソリンスタンドはどこだろう」と考えて探し,給油して問題を解決する.このように,推論すること自体は特別な能力ではなく,推論能力は日々生活の中でトレーニングされ,発達している.一方,理学療法場面における推論能力はどうであろう.学生にとって,臨床場面で推論することは非常に困難なようである.このことには根拠がある.それは,推論の困難さを規定する因子で最も強い影響を及ぼすのが「内容的なもの」1)であるからである.Wasonら1)によると,同一の構造をした推論問題でも,その難易度は“課題の親近性”に左右されるという.つまり,固有領域における推論過程で要求される知識や思考パターンに精通していれば推論は容易となるが,そうでなければ推論そのものが頓挫することとなる.本稿では,理学療法という固有領域において,いかに推論能力を分析し,向上させるかについて,実際の学生の推論過程を観察しながら考察する.
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