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春になり,新人の理学療法士も仕事に徐々に慣れてきたころではないでしょうか.この間,新たな職場でのさまざまな気遣いが肩凝りを産んでいるかもしれません.自分を職場でどのように表現することがよいのか,悩むこともあったかもしれません,数多くの新たな出会いも最初は緊張を伴うものですよね.カルテの記載などのデスクワークも肩凝りを助長している可能性も大いにあると思います.読者の皆さんに限らず,多くの新人社会人の方も同様の経験をされているかもしれません.本特集をお読みになり,ご自身も新しい職場へのソフトランディングを果たし,エネルギーを重要な方向へ向けてください.また担当症例の方の臨床所見をとる際にも参考にしてください.
頭頸部,顎関節,胸郭出口症候群など頭から上肢にかかわる傷害は現代の大きな問題と言えます.しかしながら肩凝りは明確な定義を記載されていないこと,多くの原因が考えられることを篠崎先生が指摘してくださっています.特に興味深いのは筋硬結が肩凝りの原因なのか,症状なのかという点に依然としてエビデンスが得られていないとの指摘です.そうなると,われわれの治療対象はどこなのか,不明になってきます.その疑問を少しでも解消するために,頭頸部の理学療法にかかわる重要な解剖学的事項について佐藤先生に詳細に述べていただきました.また,上田先生には頭痛,頸椎症性神経根症について新たな運動学的知見から理学療法を展開していただきました.歯科医としてだけではなく,理学療法士でもある遠藤先生には顎関節症についての治療や予防に関する知見を述べていただきました.工藤先生には胸郭出口症候群を解剖学的に考察し,絞扼の改善を理論立てて説明していただき,さらに新井先生には胸郭運動システムを再構築する点から肩凝りに対する対応方法をご教示いただきました.このような指摘一つひとつから,上肢と頸部あるいは上肢と体幹の関係についても理学療法の視点を広げてくれるヒントになると思われます.視野を広げて自らの理学療法を見直すべきことにお役に立てば,企画者冥利に尽きるところです.
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