特集 運動障害がある場合の内部障害への対応
運動障害を有する患者の代謝障害に対する理学療法
木村 朗
1
Kimura Akira
1
1学校法人医学アカデミー理学療法学科
pp.931-937
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106173
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はじめに
加齢に伴う動脈硬化に起因する脳血管障害や心筋梗塞などは,運動器を直接介さずに動作遂行能力低下をもたらす.すなわち,神経調節系および循環代謝系の機能低下により,ときに運動器の機能を著しく障害する.また,直接運動器が障害され廃用によって代謝障害を来すことで運動障害と代謝障害が並存するケースもある.高齢者の比率が増加している理学療法の対象者を眺めたとき,これらは避けて通れないテーマの一つである.本稿では,これまで筆者なりに取り組んできた運動障害のある代謝障害,とりわけ耐糖能異常および糖尿病に対する理学療法の基本的な考え方を述べる.特に問題と思われた理学療法の成績をあえて示し,改善する手だてを示したので読者諸兄姉のアイデアを仰ぎたい.また,糖尿病性網膜症の悪化により失明に至ったケースに対し,理学療法士として関わっている現状を紹介し,かかる領域で理学療法士として創造的に発展するための問いを示す.
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