特集 病棟理学療法
回復期リハビリテーション病棟における理学療法
中島 由美
1
,
高見 麻衣
1
,
橋本 康子
1
,
吉尾 雅春
2
Nakajima Yumi
1
1医療法人社団和風会橋本病院第3病棟
2札幌医科大学保健医療学部理学療法学科
pp.543-550
発行日 2001年8月15日
Published Date 2001/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105853
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はじめに
平成12年4月の診療報酬改定により「回復期リハビリテーション(以下リハ)病棟」が新設され,PT,OTが病棟配置となった(表1).これは,そこに関わる患者および医療スタッフにとって画期的なことでもあったが,同時に全く未知のことでもあった.
回復期リハ病棟では,QOLの向上を目的とし,退院後の生活を意識しながらPTやOTも病棟においてADL能力の回復を目指す.障害のあらゆる側面を考慮したプログラムを実行し,寝たきリ化の予防,自宅復帰を促進していくことが求められている.入院当初より,患者および家族にもチームへの主体的な関わりを求め,「リハビリテーション総合実施計画書」に基づいてチーム全体としての具体的な目標設定とプログラムの実行を展開しなければならない.求められているものはADL能力の改善であって,一般的に理学療法室で行われているような機能障害に対する運動療法ではない.
これまで当然のように行ってきた理学療法室における業務の見直しと回復期リハ病棟への参画には,かなりの戸惑いと葛藤があった.同時にPT,OTを病棟に迎える看護婦,医師をはじめ全てのスタッフにも相当の戸惑いと葛藤があった.回復期リハ病棟の開設にあたって,これらの問題を解決していくために多くの時間とエネルギーを費やした.チームの未熟さはいくつかの失敗を招いたが,一方ではそれが新たなチーム力の向上につながった.そのつど討論を繰り返し,チームとしての共通の価値観の形成を心がけた.そのような試行錯誤のなかで学んだ回復期リハ病棟の理学療法のあり方について述べる.
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