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2000年4月,「回復期リハビリテーション病棟」が制度化された,日本の社会制度の大きな柱となる介護保険法が制定された.介護保険法には「リハビリテーション前置主義」という理念がある1).これは,介護保険を利用する前に,利用者に徹底したリハビリテーションを提供し,要介護状態を軽減しておくということである.その後,地域で自立した生活を可能な限り継続していくためのサービスを提供することを目的として,介護保険制度は制定された.その理念を達成するための「専門的リハビリテーションユニット」として生まれたのが回復期リハビリテーション病棟である.
回復期リハビリテーション病棟の目的とは,患者を「可能な限り要介護状態を軽減する」ことであり,「地域の生活の場に還す」ことである.そのためには多職種が協働してチームアプローチを実践することが重要である.実際に,多職種が病棟専従,または専任として配置されている.多職種の持つ専門的な情報を共有し,チームアプローチを実践するためのプランを検討することが必要であり,その手段としてカンファレンスが用いられている2).近年,回復期リハビリテーション病棟では患者の高齢化が進行しており,患者の状態は診断名のみでは語れなくなってきている.高齢者は認知症をはじめとし,多様な併存症を有する割合が高く,せん妄状態など精神状態の問題や環境や個人的背景の問題などさまざまな問題点を有している.われわれはこのような問題に対峙するため,国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health;ICF)を取り入れたカンファレンスを2018年より導入している.この度,ICFを使用してのカンファレンスに対する意識調査アンケートを実施したので,その結果も加えて紹介する.
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