特集 脳卒中患者の体力
歩行持久指数からみた脳卒中片麻痺患者の体力
渡辺 進
1
,
国安 勝司
1
,
秋田 一郎
2
Watanabe Susumu
1
1川崎医療福祉大学医療技術学部リハビリテーション学科
2川崎リハビリテーション学院理学療法学部
pp.19-23
発行日 1999年1月15日
Published Date 1999/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105219
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1.はじめに
脳卒中片麻痺患者の体力評価の指標としては,最大酸素摂取量(VO2max),予測最大酸素摂取量あるいは心拍数が100または120のときの酸素摂取量であるVO2(100)やVO2(120)などの酸素摂取量が用いられることが多い1,2).酵素摂取量と心拍数が高い相関を有しているために,最大心拍数や心拍酸素係数を用いた報告も多い3).そのほかに無酸素的閾値(anaerobic threshold;AT)を用いた評価も本邦において多く行われている4-6).PCI(physiological cost index)は心拍数を利用した歩行時のエネルギー消費の指標であり,簡便に測定できる利点がある7,8).片麻痺患者の体力評価,特に運動負荷試験における第一の問題は,運動機能障害のために,最大運動が体力の限界に規定されているのか運動遂行能力に規定されているのか分かりにくい点である.第二の問題は,体力の指標としてよく用いられる酸素摂取量を,多くの施設で日常の臨床の場で手軽に測定することは困難と思われる点である.理由は測定機器が高額であること,測定が煩雑であること,患者への負担が大きいことなどである.
本稿で筆者らは,これら2つの問題点をクリアするために,歩行持久指数という概念を提唱し,自験例を示しながら,その対象,方法,意義,妥当性,限界について考察してみたい.
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