特集 脳卒中患者の体力
糖・脂質の指標からみた脳卒中患者の身体活動量
横川 正美
1
Yokogawa Masami
1
1金沢大学医学部保健学科理学療法学専攻
pp.24-28
発行日 1999年1月15日
Published Date 1999/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105221
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1.はじめに
過度の安静や運動不足はさまざまな糖・脂質代謝異常の発生増悪因子の1つとなる.これらの糖・脂質代謝異常は高脂血症,耐糖能異常,高血圧,肥満などの生活習慣病に認められるが,インスリン感受性(抵抗性)を基盤として生活習慣病が集積することと,動脈硬化性疾患の発症とは関連があるといわれている(図1)1).運動量の少ない者は多い者に比べ一般には体力は低下しており,糖・脂質代謝異常をきたす危険性も高い,このような糖・脂質代謝異常に関する耐糖能,血清脂質,インスリン抵抗性などの指標は,体力の要素のなかでは運動能力そのものよりも,青木が述べているような健康を支える基盤としての役割2)において1つの側面を示すと考えられる.
そして脳卒中患者の場合も,これらの指標の動向に注意する必要がある.すなわち脳卒中患者はもともと糖・脂質代謝異常を有する場合が多いことのほかに,脳卒中片麻痺患者では歩行障害のため活動量が少なくなって,糖・脂質代謝異常をきたしたり増悪したりする可能性があるからである.本稿では脳卒中患者における身体活動と糖・脂質指標との関係を,筆者らのデータをまじえながら検討し,あわせて脳卒中患者の健康管理面での注意点を考えてみたい.
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