講座 理学療法における標準(値)・3
上肢・体幹関節可動域
神沢 信行
1
,
岡野 生也
1
,
篠山 潤一
1
,
山本 直樹
1
,
坂本 紀子
1
,
河合 秀彦
1
,
富永 孝紀
1
,
安田 孝司
1
,
赤澤 康史
1
Kanazawa Nobuyuki
1
1兵庫県立総合リハビリテーションセンター
pp.693-698
発行日 1998年9月15日
Published Date 1998/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105138
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
関節可動域が確保されていることは,人が行う種々の動作を遂行するうえで重要な要素である.この関節可動域は「正常関節可動域」と定められ,理学療法士が日常において評価の1手段として用いている.しかし,臨床的に動作を観察すると「正常関節可動域」として定められている角度よりも少なく測定される関節運動もあり,逆に多く測定される関節運動もある.この要素としては,年齢,性別,日常生活における動作様式や動作頻度などが考えられる.この関節可動域の障害は,リハビリテーション医学において機能・形態障害の1つとしてとらえられ,骨・関節疾患に起因する直接的な原因のみならず廃用性の原因によっても生じる障害である.これらは,日常生活を妨げる因子として能力障害の原因となり,長じて社会的不利をもたらす結果ともなりうる.したがって,臨床においてはこれらの原因を明確にして,それを取り除くために何を行うべきか,また関節可動域障害が予想される場合には日常生活における障害に対してどのような対策をもって臨むかが重要になる.
今回は,上肢と体幹の関節可動域について報告するが,頸髄損傷者(以下,頸損者)の起き上がり動作に着目して,この動作に必要な肩と体幹の可動域について文献的考察を含めて報告する.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.