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特集 脳卒中における廃用・過用・誤用と理学療法
拘縮と関節可動域訓練
Disuse, Overuse and Misuse and Physical Therapy in Stroke Patient: Contracture and Range-of-Motion-Exercise
神沢 信行
1
Nobuyuki KANZAWA
1
1兵庫県立総合リハビリテーションセンター
1Hyogo Rehabilitation Center.
pp.87-92
発行日 1993年2月15日
Published Date 1993/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103681
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1初めに
拘縮は理学療法士にとって日常の臨床で遭遇するほとんどすべての疾患に存在する症状であり,それに対する関節可動域訓練は筋力増強訓練および日常生活動作訓練とともに最も使用頻度の高い手技の一つである.この関節可動域訓練を行なうに当たって,理学療法士として具体的にどの程度の可動域の改善(または維持)を目標とするかは重要なことである.それは,いわゆる正常可動域である生理的な可動域を求めるか,または日常生活動作に必要な可動域を求めるかにより訓練の方法や強度も異なってくる.例えば,慢性関節リウマチで膝に高度の変形が見られる患者と野球の捕手で膝に何らかの損傷がある場合とに求められる膝の可動域や,変形性股関節症の患者の股関節と頸髄損傷患者の股関節とに求められる可動域には当然のことながら違いが有る.そのために,患者の関節や周囲の組織の状態を知り,そして正常の関節の構造や円滑に関節運動が行なわれるための因子を知っておく必要がある.この因子としては中屋1)は,①関節を構成する軟部組織に拘縮が無いこと,②関節の構築学的な欠陥が無いこと,③疼痛が無いこと,④主動作筋の筋力と拮抗筋の伸展性が十分有ること,⑤関節運動を阻害する周囲筋の痙性が無いこと,⑥協同筋が十分な機能を果たすことを挙げている.
本稿では片麻痺の関節可動域訓練を行なうときに防がなくてはならない誤用症候や過用症候2)について,特に肩関節,股関節,足関節と足を中心に述べる.
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