特集 脊髄損傷―新しい下肢装具の活用
ARGO(advanced reciprocating gait orthosis)を用いた脊髄損傷者の歩行練習
岡野 生也
1
,
篠山 潤一
1
,
山本 直樹
1
,
坂本 紀子
1
,
安田 孝司
1
,
神沢 信行
1
,
赤澤 康史
2
,
高田 正三
3
Okano Ikuya
1
1兵庫県立総合リハビリテーションセンター中央病院リハビリ療法部
2兵庫県立総合リハビリテーションセンター福祉のまちづくり工学研究所
3兵庫県立総合リハビリテーションセンター中央病院整形外科
pp.475-481
発行日 2001年7月15日
Published Date 2001/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105836
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はじめに
脊髄損傷により重度な下肢の麻痺が出現したものでは,通常は移動手段として車いすを用いる.このことは,移動速度や行動範囲の面だけでなく,対麻痺者の歩行と比べ,エネルギー消費や安全性の面からみても合理的である.したがって重複障害のない対麻痺者では,車いすを用いることにより日常生活動作における自立を促すことが可能となる.しかし,中途障害者の多くは,もう一度歩きたいという希望があることも忘れてはならない.
更に,歩行動作の獲得については,移動動作の確保という観点だけでなく,心理的・生理的効果も報告されている.単に合理性だけを求めることは,多種多様な利用者のニーズに不十分な対応となり,サービスの低下を招く恐れもあることに十分に注意しなければならない.
このような理由も含んだうえで,脊髄損傷者(以下脊損者)の歩行獲得に向けての交互歩行装具の開発が行われ,改良が進められてきた.ここでは,そのなかの1つであるRSLSTEEPER社製Advanced Reciprocating Gait Orthosis(以下ARGO)の歩行練習について,当センターで行われているオリエンテーションから練習時の要点を紹介する.
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