特集 急性期の理学療法
急性呼吸不全の理学療法
眞渕 敏
1
,
間瀬 教史
1
,
和田 智弘
1
,
上村 洋充
1
,
谷崎 忍
1
,
上谷 清隆
1
,
居村 茂幸
1
,
藤原 誠
1
,
丸川 征四郎
2
,
山内 順子
2
,
尾崎 孝平
3
Mabuchi Satoshi
1
1兵庫医科大学病院リハビリテーション部
2兵庫医科大学病院救命救急部
3防衛医科大学校集中治療部
pp.547-552
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104960
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
近年,急性期医療技術の飛躍的な進歩に伴い,重症例に対して発症初期から,高度の抜術を駆使した集中的な全身管理の下に,チームによる積極的な医療が展開されている.リハビリテーション医療の領域でも,疾病構造の多様化に伴い発症直後から集中治療に対応する機会も多く,早期リハビリテーションのための早期理学療法が一般化しつつある.
一方,対象が急性変化を示す時期であるがゆえに,人工呼吸器,モニター等生命維持のために機械的管理下に置かれ,画一的・非選択的な呼吸管理システムに従属することになって人間本来の自律(立)的な機能を抑制されている.このような機械的な急性期医療のなかに,「本来の機能を基盤にして新しい機能を確立する」という人間医療の手法が求められている1).筆者らは急性期における理学療法は決して特殊な治療法ではなく,その理念は「日常的な身体と肺の動きをベッド上で再現する」ことであると考えている2).
このような現状から,本稿では急性呼吸不全の特徴的なことを中心に,理学療法の評価・治療の具体的な進め方について述べる.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.