特集 急性期の理学療法
急性心筋梗塞の急性期理学療法
丸岡 弘
1
,
押見 雅義
1
,
北野 桂介
1
,
柳沢 千香子
1
,
鈴木 禎
1
Maruoka Hiroshi
1
1埼玉県立小原循環器病センター
pp.553-559
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104961
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1.はじめに
循環器障害に対する理学療法はそのほとんどが急性心筋梗塞(AMI)を対象としており,そのニーズは年々高まる傾向にある.一方,AMIにおいてはその発症が急激で,しかも安静臥床を強いられ,あるいは心機能の低下を伴うために,身体的脱調節(deconditioning)をきたしやすく,また再発作の不安からくる精神的不安定さを伴いやすく,社会復帰が必ずしもスムーズにいかない人が多い.その意味で,急性期理学療法は,より質の高い社会復帰を実現するためにも必要である.
近年AMIにおいては,再灌流療法の普及によって発症早期から,より安全にプログラムを進行させることが可能となった1).しかし,発症早期ほど死亡率が高く,また発症1週間目までは心筋の脆弱性が最大である点を考慮すれば,比較的早期に重篤な合併症の起こる可能性が大きい.急性期の理学療法プログラムの進め方は身体的脱調節を最小限に食い止め,合併症を起こさないように安全に行うことである.しかし,これらは相容れない要因であり,これらのバランスの上に立って進めなければならない.その基本的な考え方は,安全で,なおかつ早期離床,早期退院を目標とすることである.
本稿では,合併症や運動障害などを有する場合のAMIに対する急性期理学療法の進め方とリスク管理について述べる.
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