Japanese
English
Bedside Teaching
医原性肺疾患としての大量輸液—3.酸塩基平衡障害
Iatrogenic Pathology Caused by Too Much Fluid:Effects of massive infusion on acid base status
丸川 征四郎
1
,
久保山 一敏
1
,
山内 順子
1
Seishiro Marukawa
1
,
Kazutoshi Kuboyama
1
,
Junko Yamauchi
1
1兵庫医科大学救急災害医学
1Department of Critical Care& Traumatology,Hyogo College of Medicine
pp.917-925
発行日 1999年9月15日
Published Date 1999/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901962
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輸液の毒性発現の要因
輸液は極めて低毒性である.毒性は輸液の①量と②速度,輸液剤の③組成および④浸透圧の4因子に依存する.表1に主な輸液剤とその酸塩基平衡障害を含む合併症を要約した.しかし,急性毒性試験によって動脈血酸塩基平衡の動態を体系的に検討した報告はなく,上記の4因子のそれぞれに基づく酸塩基平衡の変化の詳細な報告は意外に少ない.
図1は福田ら1)が5種類のアミノ酸製剤を用いて行った急性毒性実験の成績である.心停止となる投与量には,輸液速度に依存した3つの相が存在していることがわかる.左側の相は輸液速度が遅いと体外への水分排泄が多いため高容量に耐えること,平坦相は排泄速度を上回る急速輸液で心停止に至ること,右側の相は輸液速度が早くなると循環不全が始まってから心停止に至るまでに投与される量が増加することが原因と推測されている.すなわち,輸液の毒性は輸液因子だけでなく,生体因子として排泄能(腎機能,下痢,腹水)のほか体内分布容量,心肺機能にも大きく影響されることが示されている.
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