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特集 脳性麻痺の理学療法と手術および装具療法
脳性麻痺の手術療法の適応と効果
Physical Therapy, Surgery and Orthotics in Cerebral Palsy: Indication and Post-operative Effect of Orthopedic Surgery for Cerebral Palsy
江口 壽榮夫
1
,
千田 益生
1
,
越智 信夫
1
Sueo EGUCHI
1
,
Masuo SENDA
1
,
Nobuo OCHI
1
1高知県立子鹿園
1Kejikaen, Kochi Prefectural Institute for Crippled Children.
pp.446-452
発行日 1989年7月15日
Published Date 1989/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102807
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Ⅰ.脳性麻痺における整形外科的手術の位置付け1)
脳性麻痺は,(超)早期からの理学療法―神経発達学的アプローチから始められ,幼児期,さらには学童期になると,治療的訓練以外に整形外科的手術,装具療法,そして補装具の使用が取り入れられ,歩行を主とした移動能力と日常生活動作(以下,ADLと略す.)との獲得が計られてくる.脳性麻痺の療育において,患者の年齢的な推移におけるこれら整形外科的治療の役割りについて,著者の考えを図1で説明したい.
乳児期には可塑性に富む未熟な脳の正常運動発達に向けての訓練に重点が置かれるが,幼児期になって,主として四肢における変形,拘縮を予防,あるいは矯正して訓練効果をあげるために,さらに(補)装具を使って患者の代償機能を利用しての実用的な効果をあげるために,諸々の整形外科的およびリハビリテーション医学の治療―整形外科的手術,フェノールブロック,装具療法,ギプス療法,補装具―の必要度が年齢とともに増加し(図では上向きのカーブで表示),これが学童期に持続し(図では上向きのカーブが梯形の上辺を示すように延長されて表示),その後は患者が移動手段として使用している補装具やADLに必要な自助具は引き続き使用されることが多いが,フェノールブロック,装具療法,ギプス療法はあまり行なわれなくなり(図ではカーブの下降で表示),整形外科的手術も,変形,拘縮の再発例や未治療者,あるいは重度の障害者における変形,拘縮,脱臼,さらには頸椎症などの治療に限定されてくるという流れを示している.
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